【インタビュー】『マクロス』スカイツリー限定映像に参加! 魚雷映蔵が目指す新世代のアニメ作り

【インタビュー】『マクロス』スカイツリー限定映像に参加! 魚雷映蔵が目指す新世代のアニメ作り
桜井恒二

キャララボライター

桜井恒二

インタビュー

1月9日(火)から2月28日(水)まで、東京スカイツリーで「マクロス」シリーズのTV放送35周年を記念したイベント「マクロス BLUE MOON SHOW CASE IN TOKYO SKYTREE®」が開催されています。地上450mにあるスカイツリー天望回廊がマクロス一色になり、展示やグッズ販売、カフェのコラボメニューなどでにぎわいを見せる本イベント、中でもスカイツリーラウンドシアターの超パノラマスクリーンで1日数回上映される限定映像はマクロスファンの間で大きな話題になっています。

この映像の序盤に流れる「マクロス35th完全オリジナルムービー」を制作したのは、東京都墨田区に本社を置く、株式会社魚雷映蔵です。京都市交通局のPRアニメ『地下鉄に乗るっ』をはじめ、アニメ―ションを使ったCMやPVを多数手がける同社。コンテと演出を務めたプロデューサーの佐野リヨウタさんとアニメーションディレクターの松島慎太郎さんにお話をうかがいました。

スカイツリーの超パノラマスクリーンで絶賛上映中!
『マクロス』35周年記念ムービーの制作に参加

▲ スカイツリーの超パノラマスクリーンに映し出される大迫力の限定映像
【イベントのレポート記事はこちら

――「マクロス BLUE MOON SHOW CASE IN TOKYO SKYTREE®」の限定映像についてお聞かせください。合計10分ほどの上映時間のうち、序盤で流れる約1分半の新規アニメパートを担当されたというお話ですが、今回「マクロス」というビッグタイトルに関わることになったきっかけは何だったのでしょうか?

佐野リヨウタさん(以下、佐野):35周年を記念して、いろんな制作会社にオリジナルムービーを作ってもらおうというお祭り企画が立ち上がったそうなのですが、その中の一社としてお声がけいただきました。TVアニメを手掛けているような制作会社よりフットワークが軽いのが我々の強みなので、早い段階で制作をスタートさせ、今回のスカイツリーとのコラボイベントで映像を使っていただけることになりました。

――制作当初はスカイツリーのイベントで映像を公開することは決まっていなかったのでしょうか。

佐野:そうですね。そもそもは「まずは内容も長さもおまかせで、“プロによる二次創作”というイメージで自由に企画を出してほしい」というオファーだったので、今回の上映はその後から決まりました。

――「自由に作っていい」と言われると、逆にどんなムービーにするか迷いませんでしたか。

佐野:マクロスのファン層は、初代からシリーズを追っている40代、50代から、最新作の『マクロスΔ』から入った10代の方もいます。私たち制作側は『マクロスF』頃から入った後追いの世代で、すべてのファンが満足するものよりも、むしろマクロスの歴史を若い世代の目から捉えなおした映像を作りたいと思いました。

マクロスはバルキリーによる戦闘や人間ドラマも魅力ですが、シリーズを通して「歌」がストーリーや演出に関わっていて、重要な要素ですよね。歴代シリーズの歌姫……熱気バサラは“姫”ではありませんけど(笑)、歌姫たちを音楽に乗せて、時系列順に登場させることで、シリーズにおける「歌」の存在感と「歴史」を象徴的に表現するという方向性で演出とコンテを考えました。

――スカイツリーで拝見しましたが、キレのいい演出で歴代マクロスシリーズのキャラが次々登場し、たいへんテンションの上がるムービーでした。お客さんからも驚嘆の声が上がっていました。

佐野:ありがとうございます。ミュージッククリップのようなアップテンポで何度でも見返したくなる映像を目指したので、我々の得意とする部分が出せたのかなと感じています。

見どころは歴代歌姫の集合シーン
チョイ出のガムリンも要チェック!?

▲ 異なる作品のキャラが集合しても違和感がないようにデザインのアレンジが行われた
――今回のムービーの製作期間はどれくらいですか。

松島:原画は3名で、製作期間は佐野のコンテを含めて1ヵ月ほどです。コンテが完成してから原画に入るという形ではなく、同時進行でお互いの作業を確認しながら作りました。動画は外注でお願いしたのですが、「マクロスに関われるのなら、今やっている仕事を後回しにしても参加したい」と言ってくださったスタッフもいて、作品のネームバリューを改めて感じました。

――制作担当の松島さんから見た、今回のムービーの見どころはどこでしょうか。

松島:歴代歌姫が最後に集合するシーンです。集合絵を違和感なく見せるために、それぞれのキャラクターの絵柄を調整しました。特に苦労したのは初代マクロスのリン・ミンメイですね。初期のデザインは線の表現が独特なので、当時のデザインを活かしつつ現代風にアレンジするのは試行錯誤の連続でした。
▲ 作画作業はすべてデジタル。松島さんイチオシのガムリン出演カットもお見逃しなく!
――今回のムービーではたくさんのキャラが登場しますが、マクロスシリーズで思い入れのあるキャラは誰でしょうか。

松島:『マクロス7』のガムリン木崎です……(笑)ガムリン、カッコイイんですよね。最初はミレーヌが好きだったんですけど、回を重ねるごとにガムリンが好きになって、どうしても出したいな!と思って3カットくらいねじ込みました(笑)

一同:笑

“つめあとを残すアニメ”を作る
媒体にこだわらない制作スタイル

▲ プロデューサーの佐野リヨウタさん(写真右)とアニメーションディレクターの松島慎太郎さん(写真左)
――今回のムービーは1分半の長さに情報がこれでもかと詰まっていて、「もう一度じっくり見返したい!」と見終わった後に感じる内容でした。「マクロスΔは見たけど、過去作はよく知らない」という若いファンの方にとっても「他のマクロスはどんな作品なんだろう?」と興味を持つきっかけになるような気がします。

佐野:そう言ってもらえると嬉しいです。我々は普段、CMやPVをメインに作っていますが、視聴者がそれらを観る媒体は、TVだったり、スマホのタイムラインだったり、はたまた展示会のモニターだったりと様々です。その中で重要視しているのは、短い視聴時間でいかに視聴者をアッと言わせるか、立ち止まらせるかということです。弊社のキャッチコピーである「つめあと残すアニメ。」はそうした思いから生まれています。今回も、マクロスをよく知らない方にもシリーズの入り口として“つめあと”を残せたなら本望です。

――『地下鉄に乗るっ』は劇場公開でしたし、今回のマクロスはスカイツリーの展望デッキでの上映でした。「アニメ」と聞けば、TVやネットで流れる5分枠、30分枠のものを想像しがちですが、魚雷映蔵さんの作品はその枠組みにはまっていませんよね。

佐野:私も含め、制作スタッフは芸大出身者ばかりで、学生時代から媒体問わず映像を発信することを当たり前のようにやってきました。「映像はTVや劇場で見るもの」といった固定概念はなく、発信の場に合わせた作り方をするだけ。そういう意味では、今回のマクロスのムービーのように、発注時点ではどう映像が使われるかわからないという状況も慣れっこです(笑)
▲ スタジオのなかにはこれまで手掛けた作品のパネルやポスターが所狭しと並んでいた
――最後に、佐野さんから見て、魚雷映蔵とはどんなプロダクションでしょうか?

佐野:アニメ業界的には特殊なプロダクションだと思います。どんなプロモーションを仕掛けていくか、企画の段階から関わらせていただくことも多いので、アニメ会社というよりはデザイン会社や広告会社に近いとも言われたりします。

スタッフは少数体制なので、長編アニメやTVシリーズを単独で手がけることはできませんが、その分、固定概念の先にある可能性を探っていけるとも考えています。でも、それは我々が特殊というわけではなくて、実際に視聴者の視聴スタイルも変化してきているわけですから、今後ますます商業ベースで発表の場が増えていくと嬉しいですね。

――本日はありがとうございました。魚雷映蔵さんの名前を今後いろいろな媒体で目にできる日を楽しみにしています。
【INFO】
■魚雷映蔵 公式サイト:http://gyorai.net/

■イベント名:MACROSS 35th Anniversary マクロス BLUE MOON SHOW CASE IN TOKYO SKYTREE®
・開催期間:2018年1月9日(火)〜2月28日(水)
・場所:東京スカイツリー天望デッキ
・住所:〒131-0045 東京都墨田区押上1丁目1-2
・料金:無料(※展望台入場料が必要です)
・公式サイト:http://www.tokyo-skytree.jp/event/special/macross2017/

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