世は空前のアナログレコードブーム。
そんな中、現在の和モノブームの火つけ役のひとりであり、フリーランスの編集者/ライター、そしてDJとしても活躍中のカネコヒデシが、和モノレコードファン、キャラクターサウンドトラックファンにお贈りするシリーズ、それが『キャラトラの沼』。
今回は、藤子・F・不二雄原作のTVアニメ、『エスパー魔美』のサントラEPをご紹介!
藤子・F・不二雄による、
中学生の少女を主人公にした異色の作品、『エスパー魔美』。
周知のコトだとはおもうが、藤子不二雄はふたり組で、1987年にコンビを解消して、Fは藤本 弘氏、Aは安孫子素雄氏。
『ドラえもん』や『パーマン』などのファンタジー系はF、『プロゴルファー猿』や『笑ゥせぇるすまん』などのちょっとシニカル系はAだったりする。
作風は、やはりちがうのよね。
で、藤子・F・不二雄による『エスパー魔美』。
原作は、なんと1977年からの漫画雑誌『マンガくん』にて連載。
『少年ビッグコミック』の前身マンガ雑誌ね。
テレビアニメ化は1987年。
テレポーテーションの超能力を持つエスパー中学生、佐倉魔美が、同級生の秀才で相方?の高畑和夫と繰り広げるちょっとオトナな大冒険!って、、、
ソレだけ聞くとただの安いAVっぽくなってしまうが。。。
まあ、いろんな危機や事件を、ふたりで知恵を出し合って、超能力をつかってなんとか解決していくという、勧善懲悪的な物語ってのがホントのトコ。
とはいえ、魔美のお父さんある”佐倉十朗”は画家兼高校の美術講師で、よく魔美をモデルにしてヌードスケッチを描いているという点で、
小学生向けにしては若干エロすぎて、いまじゃ放送できないんだろーねーってのがホンネ。
あと、魔美のペットのコンポコは、ほぼたぬきにしか見えない。
名前からしても、たぬきだよね(笑)。
しかし、藤子不二雄(当時は、AとFは分かれてなかったので)の作品といえば、ドラえもんとのび太とか、ハットリくんとケン一氏(ケンイチウジ)とか、
ミツ夫とコピーロボットのミツ夫とか、だいたいふたり一組になった作品がおおいというか、ほとんどソレだよね。
ドッチかがダメなときにドッチかが助けるという、一心同体パターンというか、二人羽織パターン。
二人羽織はちがうか。
そういった意味で本作も疑いようのない藤子不二雄作品なのである。
ただ、女の子が主人公という作品はかなりすくないけれど。
そんな『エスパー魔美』のオープニングテーマ「テレポーテーション ー恋の未確認ー」と、エンディングテーマ「不思議Angel」の2曲が収録されているのが、このEP。
ドチラの曲も80’sテクノポップス感満載のシティポップサウンド全開で、最近の和モノDJたちにも大人気。
「テレポーテーション ー恋の未確認ー」は、いわゆるモータウンビートが特徴的なグルーヴィーサウンド。
そして、タイトなドラムのミドルビートに、うつくしいシンセサイザーサウンドが気持ちいい「不思議Angel」。
ドチラも歌詞がカワイイのでソチラもチェックだ。
ふたつ折りのジャケットの中面には歌詞が掲載されているので、一緒に歌うのもいいかも!
作詞は松本一起。
矢沢永吉の「夢の彼方」や早見優のデビュー曲「急いで初恋」などを手がけた本格派。
作曲は、『夢戦士ウイングマン』のオープニングテーマを手がけた奥慶一が担当。
音がほぼほぼEarth, Wind & Fireでおなじみの、80’s大所帯バンド「スペクトラム」の一員。
ヴォーカルは橋本 潮。
『ドラゴンボール』エンディング曲「ロマンティックあげるよ」も歌ってるアノ人ね。
こういうスーパー音楽クリエイターたちがアニメの主題歌などを制作しているというのも、80’sアニメソングの特徴のひとつ。
意外とかなり実験的なサウンドもあったりして、当時にしてはかなりトガッていたりするのもオモシロいよね。
コチラのEP、じつはすでにけっこう貴重盤になっているらしく、中古レコード店やオークションなどでは、1万円を超える価格になっているとか、なっていないとか。。。
そんなワケで、見つけたらぜったいゲットすべきいちまいなのだ。
【レコードクレジット】
タイトル:『エスパー魔美(EP)』
レーベル:日本コロムビア
リリース:1987年