世は空前のアナログレコードブーム。
そんな中、現在の和モノブームの火つけ役のひとりであり、フリーランスの編集者/ライター、そしてDJとしても活躍中のカネコヒデシが、和モノレコードファン、キャラクターサウンドトラックファンにお贈りするシリーズ、それが『キャラトラの沼』。
第2回目は、TVアニメ版『聖闘士星矢』のサントラ「聖闘士星矢 銀河戦争・夢の対決 篇」をご紹介しよう!
車田正美原作のTVアニメ『聖闘士星矢』。
2016年で30周年をむかえても、いまだに人気のある『聖闘士星矢』シリーズだ。
マンガ版と初期のTVアニメ版とでは、若干、というよりまったく「聖衣(クロス)」が異なっていたという不思議さについてはさておき、コチラは、87年にリリースされた、物語初期の「銀河戦争(ギャラクシアン・ウォーズ)」を、原作やアニメではなかった組み合わせでの対戦を再現した”架空実況中継”盤、、、いわゆるドラマ盤ってヤツ。
つまり、収録されている「ペガサス星矢 VS アンドロメダ瞬」と「ドラゴン紫龍 VS キグナス氷河」というのは、テレビでもマンガでもなかった対決なので、この盤だけの完全オリジナルストーリーで、まさに”架空”で、夢の対決というコトなのだ!
ぼんやり聞いていると、むかしのラジオドラマ?っぽさがあってオツだね。
それにしても、”ペガサス星矢”役の古谷 徹氏は、声だけだとどんな役もアムロ・レイにしか聞こえてこないというのは、アムロのイメージが強すぎなんだろうなー。
とはいえ、星矢の「燃えろ!オレの小宇宙(コスモ)よ!!」の決めゼリフは、いつ聞いてもアガるよね。
「自転車よりやっぱり車だ!の車田です」という自己紹介で、聖闘士評論家の車田先生として登場しているダジャレ好きの解説者はおそらく、まちがいなく原作者の車田正美かと。もちろん声は別の人。でも、聖闘士評論家って、、、ナニ(笑)?
さらに、車田先生の”ダ”以下のダジャレ後のアナウンサーのやさしさ溢れる反応に、うかつにも昭和のあたたかさを感じてしまったのは、ワタクシだけだろうか。
B面には、TVシリーズでも人気の「十二宮編」のなかから、「アイオリア、恐怖のライトニングプラズマ」と「カシオス愛に死す」の2話を収録。
コチラは、おそらくTVでながれた物語がそのままかな。
音楽的には、ドラマがはじまる際、ナレーションのバックで流れるインストの音楽が、メチャメチャ激太ベースのフュージョンサウンドというトコロにも注目、いや注耳していただきたい。
この辺のフュージョンを使用しているのは、80’sアニメの特徴のひとつとも言える。
あとは、ロックバンドMAKE-UPが歌う大ヒット主題歌「ペガサス幻想」の、
TVサイズバージョンが収録。”幻想”とかいて”ファンタジー”ね。DJなどで使用するときはだいたい曲の1番目が中心なので、じつはこのサイズ感がありがたい。
しかし、このころのこういうバトル系アニメの主題歌は、なぜかちょっぴりハードなロック系が多かったような。
『北斗の拳』はクリキン(クリスタルキング)だったけど。
インサートは登場キャラの詳細すぎるプロフィールが!
それにしても、ぶっちゃけ「てやー!」とか「うぉわ〜!」っとか、ものすごい効果音とかがあって、盤の向こう側では血で血を洗うような闘いが、たぶん、恐らくまちがいなくおこなわれているハズなんだけれど、音だけだとナニをやってるのかわからないのが、かなりファンタジーすぎて、残念。
“ペガサス流星拳”って、音だけ聞くと『北斗の拳』の北斗百裂拳にしか聞こえないよネ(笑)。
あと、奇跡おこりすぎ!
それは原作もか。
このうつくしいジャケットは、日本を代表するアニメーター荒木信吾と姫野美智による書き下ろし。
歌詞ならぬ、超がつくほど詳しすぎなキャラクター解説シートつき。おそらく、音だけで分からないヒトのための、解説書的なものなんだろうね。
ソチラも必読だ!
そんなこんなで、あるようでなかった夢の対決が収録されたオリジナルストーリー盤。
ファンならずとも、一度は聴いてみたいハズ。
コイツは、マチガイなく、コスモでファンタジーないちまいなのである。
【レコードクレジット】
タイトル:『聖闘士星矢 銀河戦争・夢の対決 篇』
レーベル: 日本コロムビア
リリース:1987年