キャララボ

作品名：劇画 近藤勇−星をつかみそこねる男−

理想の上司度：★★☆☆☆

　明治期を目前に武州多摩の小伜から身を起し、ついに新選組隊長となった近藤。だがもしかしたら多摩で芋作りをしていた方が幸せだったのでは？

　『劇画 近藤勇−星をつかみそこねる男−』は1989年にちくま文庫から刊行された漫画で、作者は『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』等の代表作を持つ漫画家・水木しげる。ユニークな史眼から近藤勇の波乱の生涯を描いています。

　『劇画 近藤勇−星をつかみそこねる男−』の近藤勇は、農家に生まれながら武士、ゆくゆくは旗本になることを夢見ていました。性格は人情深く、土方を道場に入門させるためにわざと負けたり、意地になって死のうとしていた原田を武士の論旨（本当は常人の4倍ある大きな口の威圧感による）で諫めたりし、その人柄に惹かれた門下生が次々集まります。また隊士が無礼なことをすれば道理を通すよう指導する場面も。しかしあまり細かいところまでは気が回らず、何か決断する際はすぐに土方に相談し、その通りに行動します。天下の為、幕府の為と言いつつもきれいな女性を側に置きたい、名士になりたいと欲をこぼす場面もあり、とても人間くさいですね。幕府が倒れ、脱走者が相次ぐようになってもまだ「1人でも戦う」と息巻いていましたが、最後には「家族と生きることも星」といつも言うことを聞いていた土方をふりきって官軍に着いて行き、土方達を逃がし処刑されます。隊士から「調布の芋」と言われるほど親しみ（？）やすく根は真面目ですが、人の意見に流されやすく自身の欲に負けたり頑固すぎる面もあり、理想の上司としては星2つといったところでしょう。

作品名：薄桜鬼 真改

理想の上司度：★★★☆☆

　文久三年、連絡が途絶えた父を捜すため、一人で江戸から京の都を訪れた少女・雪村千鶴。見知らぬ都で浪人たちに襲われる途中、彼女が遭遇したのは血に飢えた異形の者。そして、その異形を切り伏せる新選組の隊士だった――。

　『薄桜鬼』は2008年に第1作目が発売された、「オトメイト」を代表する女性向け恋愛アドベンチャーゲームです。新選組をモチーフとしながらも鬼や吸血鬼などのファンタジー要素を巧みに組み込み、多くの女性ファンに支持されています。またゲームだけでなくTVアニメ、舞台、ミュージカル、イベント、コミック、そしてバラエティ豊かなグッズなど多彩な展開でも注目を集めており、2013年と2014年には劇場版アニメーション2部作が公開され話題となりました。『薄桜鬼 真改』は第一作をシナリオやセリフ、キャラとのやりとりなどに加筆を行いリメイクしたもの。これまでの薄桜鬼の総括となる作品として、「風ノ章」「華ノ章」の前後篇となっています。

　『薄桜鬼 真改』の近藤勇はおおらかで剣術にも長け、何より人情深く涙もろい皆の信頼を集める大将です。島原では拳を口に入れるネタを披露して、笑われるという一面も。土方のことを「トシ」と呼んで信頼しており、土方も近藤の為に行動しています。どの作品のいずれのルートでも史実通りに新政府に投降して処刑されてしまい、また攻略対象でないということもあり理想の上司度は史実と同じく星3つです。